夢を見るのです

夢を見るのです。

私は台車に載せられスーパーを全速力で駆けています。

目的は、騒ぎに乗じてある机の中のテスト用紙をばら撒くこと。

それを仲間が回収すること。

ところが机は発見できず、先生に捕まってしまいました。

仲間はほとんど捕まりました。

泣く人と泣かない人、泣くふりの人。

興味のない人、話す人と話さない人。

台車に載せられた私の七人。

友達ではありません。

 

ショーウインドウに映る私は甲殻類の化物でした。

伊勢海老のようで、背中が、大きくまだらに黒いので

「ゴキブリ」と呼ばれました。

あの特徴的なハサミはなく、腰は山のように曲がっています。

気持ちが悪い。と何度も言われました。

 

走って逃げようとしましたが、すぐ捕まりました。

事情聴取は堂々巡りでうんざりです。

警察もいました。

我々は何もしていません。

トイレに行きました。

「ここのトイレは金がかかっているんだ」

先生は自慢げでした。

用を足していると、先生のいたずらで顔が汚れました。

蛇口で口をゆすいでいると

「なんで泣いている?」

と近づいてきて言いました。

言葉がスムーズに出てきません。

「飼っていた猫と、祖母が死んだ日を思い出すからです」

先生は私の言葉を聞いて頷きました。

私の言葉を堪能しているようでした。

 

仲間は罪を私になすりつけていました。

警察も先生も何も疑いません。

何が辛くて泣いているのか分かりません。

靴底で背中を踏まれます。

死刑。死刑。と何人かの声と共に。