2018-01-01から1年間の記事一覧

愛と光と秘密主義の道

帰りの道を、彼女が右に曲がろうと言うので、右に曲がると、そば屋にせんべい屋、まんじゅうを売る店に揚げもの専門店、履きもの屋に帽子屋、中華料理に焼き肉、イタリア料理にしゃれたコーヒー店、そういうものがある雰囲気の無い、なにも無い、家と、家が…

現代日本版『桃太郎』

耳鳴りがした。 それが過去から聞こえるものなのか、あるいは未来から聞こえたものなのか、わたしにははっきりしなかった。 山奥のなにもない小屋。わたしは男と暮らしていた。男はわたしを好いていたが、わたしは男を好いてはいなかった。ただ、一緒にいた…