真夏

夏が終わる。ひぐらしが鳴く。

木陰まで来て、肌を付く熱が鬱陶しい。

干からびて地面になったミミズの上。

水の反射がよく見える。

色の濃い葉も、エントランスを伸びる水跡も

やがて来るこの季節だけのものだった。

 

新緑が散る。ひぐらしが鳴く。

木陰まで来て、見上げる空が鬱陶しい。

干からびて地面になったミミズの上。

通りすがる人たちの群れ。

工場地帯、昨日の草いきれ、一人で笑える今日も

今踏みだした私だけのものだった。

 

目に浮いた昨日までの反射。

目一杯、どこへでも行ける。

鬱陶しい。肌を付いて離れない。

また来年。

夏が終わる。ひぐらしの蝉が鳴く。